
地域社会が抱える課題と向き合い、新たなエネルギー社会を創造
積雪寒冷地でエネルギー消費量の多い北海道では、エネルギー・環境問題に加え、人口減少、少子高齢化といった社会構造の変化が大きな課題となっています。また、省エネの浸透、定着とともに、エネルギーの安定供給が一層求められています。さらに、エネルギー自由化による新規参入者による競争が本格化するなど、エネルギーを取り巻く環境は大きな転換期を迎えています。
このような事業環境のもと、地域特性を考え、北ガスグループは、「総合エネルギーサービス事業」という新たな事業を展開することで、持続可能な地域社会を支えるエネルギー社会の創造を目指しています。
電力小売り全面自由化を機に総合エネルギーサービス事業を展開
「総合エネルギーサービス事業」とは一言でいうと「エネルギーと環境の最適化による快適な社会の創造」です。その実現に向けて、一般家庭やオフィスなどの業務分野への電力販売をスタートし、ガスや電気といった暮らしで消費されるエネルギーと環境をトータルで考えたマネジメントを進めています。さらに、省エネ、かつ災害時に力を発揮する天然ガスコージェネレーションシステムと、北海道に多く賦存する再生可能エネルギーを組み合わせた「分散型エネルギー社会」構築のための取り組みを進めています。
お客さまとともに省エネによる快適な暮らしと低炭素化を実現
さらに北ガスでは、住まいのエネルギー利用を最適にサポートするため、北海道の暖房利用に着目した家庭用初のエネルギーマネジメントシステム「EMINEL(エミネル)」を独自開発し、2018年10月よりサービスを開始しました。温度・湿度・照度などの宅内の住環境データをもとに、暖房の自動制御や各家庭にあった省エネアドバイスを行うことで「暮らしの快適さ」と「省エネ」を実現します。こうしたエネルギーサービスを広く普及させ、地域のエネルギー利用の効率化を図っていきます。
自社電源を整備し、安定供給の強化と低炭素化に取り組む
エネルギーの一層の安定供給とCO2削減に向けて、北海道初のLNG火力発電所「北ガス石狩発電所」(石狩LNG基地構内)では、世界最高クラスの発電効率のガスエンジンで発電し、排熱を都市ガスの製造過程で有効活用しています。また2019年6月に完成した北ガスグループ本社ビルの地下に、「北ガス札幌発電所」を建設。本社ビルのエネルギーをまかなう他、当社電力事業の電源として有効活用し、かつ排熱を札幌都心部の地域熱供給に利用することで、都心部のエネルギーセキュリティの向上と低炭素化を実現します。こうした自社電源の整備により、供給安定性を高めるとともに、再生可能エネルギーの活用と併せて環境負荷を低減し、かつ経済性に優れたエネルギーを供給していきます。
新たなエネルギーモデルの構築に挑戦
北海道ガス株式会社
代表取締役社長 大槻 博