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北見市におけるガス漏れ事故に関する総括

2007年4月20日
北海道ガス株式会社

昨日、経済産業省原子力安全・保安院による「北海道北見市ガス漏れ事故について(中間報告)」が公表され、また弊社に対しまして、原子力安全・保安院長から厳重注意及び指示、北海道産業保安監督部長から保安規程変更命令の処分通知が発せられました。弊社としましては、これを重く受け止め、このたびの事故に関する総括を行いましたので報告いたします。

1. ガス本管破断および漏えいガス流入の原因について

1. ガス本管の破断について

ガス本管破断の原因につきまして、経済産業省原子力安全・保安院の「北海道北見市ガス漏れ事故について(中間報告)」(以下、中間報告)においては、「(1)車両振動や除雪車の振動等が地盤の凍結の影響を受けてガス導管の周辺の地盤の沈下を加速させ、管を下方向へ曲げる力を徐々に増加させた、(2)車両振動、除雪車の振動が地盤凍結により管に伝わりやすくなり、また地盤の不均質な凍結により、管に繰り返し負荷がかかり、管の上側表面に微小な疲労亀裂が生じた、(3)微小な疲労亀裂を起点とし、地盤の不同沈下の増大とともに一気に破断した」と推定されております。

一方、弊社における調査においては、管体破断面の現物調査はできておりませんが、現場調査や周辺の土質調査等から、中間報告と同様、主要な原因は地盤の不同沈下によるものと推定しております。なお、不同沈下が発生した要因につきましては、現地での埋設管・地表面の測量結果および歩道路面の沈下状況から、破断箇所の南側に地盤強度の弱い箇所が多くあったためではないかと推測しております。これに加え、中間報告で指摘のあった、車両振動や除排雪作業の影響、地盤の不均質凍結、土壌の凍結・融解の影響等の要因が重なり合い、破断に至ったものと思われます。

また、中間報告で指摘のあった凍結地盤における埋設物への車両振動等の影響や不均質凍結による水平応力の影響等、弊社として詳しいメカニズムが解明できていない点につきましては、引き続き調査・研究を進めてまいりたいと考えております。

2.漏えいしたガスの拡散経路と被害者宅への流入経路について

破断箇所から漏えいしたガスは、通常であれば地上に拡散しますが、このたびの事故では硬く締まった凍土が地表を覆った状態であり、かつ破断箇所付近周辺の土壌が比較的空隙の多い砂礫層であったことから、地表面にはわずかしか滲み出ず、地中で広範囲にわたってガスが拡散したものと思われます。その際、家屋の床下土壌は凍結していないことから、凍土の下を家屋の近くまで拡散してきたガスが、土中または水道・下水等の埋設管周りを伝わって家屋床下に入り込み、さらに室内に侵入したものと考えております。

2. 本件事故に関する総括について

ガス本管破断については複合的な要因による可能性が高いと考えておりますが、破断の原因がどうであれ、弊社のガス工作物であるガス本管に起因する事故であることに疑いはなく、維持管理を適切に行う立場にある者として、その責任を重く受け止めております。

このたびの事故は、ガス管の破損から被害者宅へのガス流入に至る状況が、地中で漏えいした大量のガスが凍結地盤の下を広い範囲で移動するという、弊社としては過去に経験のないものでありました。しかしながら、事故前々日の1月17日から周辺の調査を継続していたにもかかわらず、これを事故防止に結びつけることができなかったことは、お客さまに安全にガスをお届けする責任を担う弊社として誠に痛恨の極みであり、一連のガス漏えい調査の過程において、さらに安全サイドに踏み込んだ判断と対応が必要であったと考えます。

また、漏えい調査の作業要領・基準についても今回のケースを踏まえると不十分な点があり、警報器鳴動の通報が複数あった場合の対応や緊急時の避難要請のあり方、漏えい調査が長期におよぶ場合の対応等について、より明確にしておくべきであったと考えます。

さらには、北見市から事業を譲り受けるに当たっては、業務の引継ぎを通して北見の地域性を十分に把握し、これを現場の作業に反映させる等、保安確保に向けた一層の努力を払うべきであったと考えます。 結果として、3名の方の尊い命が失われ、11名の方が一酸化炭素中毒で病院に搬送されるという極めて重大な事故となりましたことに対し、あらためて深くお詫び申し上げます。

3.事故の再発防止に向けて

弊社では、これまでも保安レベルの向上を重要な経営課題と位置づけ、お客さまの安全確保とガスの安定供給に努めてまいりました。また、1996年から進めております天然ガス転換についても、安全を最優先に取り組み、これまで札幌、千歳、小樽、函館の約56万件のお客さまについて無事故で完了いたしました。

しかしながら、今回、このような重大事故が発生し、保安レベル向上に向けた一層の努力が必要であるとあらためて強く認識した次第です。弊社としては、このたびの原子力安全・保安院の厳重注意及び指示、中間報告における指摘事項等を踏まえ、社内における安全意識の再徹底をはかるとともに、保安体制の整備・強化を進め、経年管対策の前倒しや天然ガス転換の早期化など、全社一丸となって安全対策の強化に取り組んでまいります。

なお、今後の安全対策の内容につきましては、2007年度事業計画に盛り込む形で、すでに一部を決定・公表しておりますが、これらを踏まえて、さらなる補強と確実な推進をはかってまいりますので、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

「安全高度化に向けた取り組み」についてはこちらをご覧ください

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